野良猫の救助や譲渡にとどまらない支援!企業を想像させる行き届いた仕組みと配慮【猫の森訪問レポート】
皆さんは、保護猫団体に対してどのような印象を持たれているでしょうか。「保護猫の譲渡を行っている」「猫に関する何かしらの活動をしている」など、さまざまな印象を持たれているはずです。
保護猫団体との取り組みにおいて、ienekoは「NPO法人猫の森」との提携を開始しました。猫の森は、行き場をなくした猫の支援や、保護猫の譲渡などさまざまな活動をされています。
そこで、ienekoの立場においてできることはなにか理解を深めるために、猫の森のもとへ訪問してお話を伺ってきました。猫の森では、ienekoが想像していた以上にさまざまな配慮や、幅広い活動をされていることに気づきました。
今回は、NPO法人猫の森の代表理事、北村由紀子さんにお話を伺い、得られた気づきを紹介します。また、ienekoがなぜこのような取り組みを開始したのかについても簡単にまとめましたので、ぜひ最後までお読みいただけると嬉しいです。
目次
◆NPO法人猫の森とは?
◆保護猫施設は猫の病院・保育園のような一面もある
◆保護猫団体スタッフはマッチングのプロ
◆譲渡する際の条件はあるが決して高いハードルではない
◆譲渡時の重要なチェックポイントと抜け道をなくすフロー
◆ienekoが猫の森と提携を進める理由
◆事業会社の立場として抱えていた想い
◆猫の森との提携を通じてienekoが実現したいこと

まずは、今回お話を伺った猫の森について紹介します。
猫の森がどのような活動をされているのか、少しでも知っていただけると幸いです。
また、市内の地域猫活動への支援にも取り組んでおり、人と野良猫が共生できる地域社会づくりを目指しています。
具体的には、病気があり里親を見つけるのが難しい子は、猫の森で生涯お世話をする前提で引き取っています。猫の面倒をみるにあたって、一般の方が入場できるハウスで飼うことにより、人と触れ合う機会をつくっているのです。
高齢の里親希望者に対しては、シニア猫の譲渡を提案しています。猫を引き取るにあたって、里親希望者の年齢が原因でお迎えできないケースもあることでしょう。高齢の方から里親希望の申し出があった際は、譲渡ではなく「終生預かりボランティア」の提案をしています。
シニア猫の場合はなかなか譲渡につながらず、最後まで猫の森の保護猫として過ごすことになる可能性が高くなります。そのため、猫を改めて迎えることが難しい高齢の方には、預かりという形で猫と過ごせる仕組みづくりをしています。
また、猫の森では、飼い主さん自身にもしものことがあった際の保険として、猫の森が猫ちゃんを引き取る「終生飼養のサポート」を展開しています。この終生飼養サポートを利用しているのは、高齢者の方だけではありません。30代の単身者で、多頭飼育をしている方にも利用されています。
若い猫であれば新しい家族とめぐり合うチャンスがあるかもしれません。しかし、歳を重ねた猫の場合、なかなかそのようなチャンスはないのが現実です。猫の森による終生飼養サポートがあることで、行き場のない猫を減らすことにつながるのです。
また、猫の森経由で譲渡を行った里親に限り、ペットシッターによる支援を行っています。譲渡して終わりではなく、里親目線での配慮が伺えますね。
ここからは、実際にお話を聞いたうえでの気づきをご紹介します。
少なからず他の保護猫団体でも同様の考え方をされていたり、仕組みを整えられていたりするのではと考えています。今回は、あくまで猫の森における気づきとして紹介します。
猫の森でお世話をしている猫の多くは、多頭飼育崩壊の現場から保護された猫です。多頭飼育崩壊の現場から来た子たちは、飼い猫であってもそれぞれ好みなどがわからない状況です。
また、食が細い子たちや口内環境が悪い子も多いため、細かなケアをする必要があります。そのため、ご飯のあげ方やアレルギーの有無など、把握できる範囲で猫に合わせています。
猫の森では、それぞれの猫に対して必要なお世話が完了しているかどうかを確認できる仕組みが整っています。具体的には、管理シートや当番表などを用いることで対応しています。
世話をする猫が多いと、日々のサポートに追われて手が回らず、すべての子に必要なお世話がいきわたらないこともあるかもしれません。猫の森ではそのようなことがないように、お世話の状況を仕組み化する工夫がされています。
一方で、掃除を中心とした以下の業務は、ボランティアの方に対応していただいているそうです。
他にも、上記の業務以外に、猫とのスキンシップによる人馴れ訓練も依頼されています。
ボランティアにおいては、試用期間や面談を踏まえて1年ごとの更新制にしています。また、ボランティアにおけるルールや入退室管理も徹底。一般企業で行われているようなセキュリティ体制を構築し、一定以上のお世話の質を担保できるようにしています。
猫の森でお話を伺って感じたのが、保護猫団体スタッフは「猫×人」「猫×猫」のマッチングのプロであることです。
譲渡会では、スタッフにお迎えしたい猫のイメージを伝えると、要望に合わせて紹介してもらえます。人間にも性格や好みがあるように、猫も人が好き、猫が好き、一匹が好きなどさまざまです。スタッフは各猫の背景と里親候補者の希望を踏まえて、マッチングのアドバイスをするのです。
とくに先住猫がいる場合は、マッチングは慎重に行います。家族構成によっても、合う猫の性質は異なります。
小さい子供がいる家なら、子猫をお迎えしても日々の生活で違和感がないことでしょう。一方で、高齢者や大人だけの世帯では、落ち着きのある大人・シニア猫が好まれます。それらの事情も踏まえて、お迎えする環境と猫の相性を考慮して紹介するため、猫の森からの譲渡においてはミスマッチが少なくなるのだろうと感じました。
猫の譲渡を行う際に、猫の森では一定の条件を設けています。条件やルールなどの言葉を見ると、お迎えするハードルが高いように感じるかもしれません。
猫の森では不幸な猫が増えないように、他の団体同様に細かいルールを設けて譲渡を行っています。一方で、条件を細かく見ていくと、どれも猫を飼うなら当然対応すべき準備の範囲内と言える内容のように感じました。むしろ、他団体よりも間口を広げたうえで、猫の譲渡を行おうとしている印象です。
お迎えする際は、里親申込時に本人確認書類一式や家族構成、先住猫についてなど、基本的な個人情報の提供が必要です。また、面談・面会の機会を設けて、猫を受け入れることの覚悟をチェックしています。実際に、お迎えすることへの熱量が高い方は、受け入れ前に必要な備品購入や脱走対策を完了させてから譲渡会に参加される方も多いようです。
譲渡に関して、数あるチェック項目のなかでも脱走対策を厳しくチェックしています。猫を室内で放し飼いにする際、柵や網戸に対策が講じられているかを確認し、一定の強度以上であることが確認できてから正式に受け渡しを行っています。
譲渡においてよくある話が、単身の方だとさまざまな理由から譲渡できないというものです。しかし、猫の森では単身の方でも、後見人を立てたうえで面談にて契約内容の合意ができた場合は譲渡を行っています。
猫の森では、名前貸しによる抜け道譲渡が起こらないよう、面談の機会を設けています。名前貸しの場合は、この面談後に破談になることもしばしばあるとのこと。結果的に、不安定な環境での譲渡を防ぐ意味で、この面談がしっかりと役割を果たしているようです。
譲渡会は施設内で月1回、その他は施設外の別会場で実施しています。施設内だと猫がいつも通り過ごせるため、本来の性格や過ごし方を見ることができ、里親が決まりやすい傾向にあるようです。
ここからは、ienekoが猫の森と提携を進める理由について触れさせてください。結論としては、ケージを通じた保護猫活動のサポートが実現できると考えたためです。
猫ケージは、今や猫を迎え入れる際の必須アイテムの1つです。一方で、猫ちゃんを飼っている方の間でも、いまだに賛否が分かれる製品でもあります。猫ケージに対して、マイナス意見を目にするたびに「ケージは猫のために本当に必要なのだろうか?」と、悩むこともありました。
そんななか、たまたまテレビで放送されていた「嗚呼!!みんなの動物園」を目にしました。番組内で、サンシャイン池崎さんが猫の森から猫を預かり、人慣れの練習をしているといった内容です。その番組内では、人が怖い猫や初めての場所に対して怖がる猫が、ケージ内では安心して過ごせるという内容が放送されていました。この放送を見て「猫にとってケージは意味があるんだ」と感じました。
安全な環境で、猫も人も心地よい距離感で一緒に暮らすにあたり、猫ケージはやはり必要なアイテムである。そう実感できたと同時に、このようにケージが必要な猫に対して、より良いケージを広く届けてあげたいと思いました。
そこで、保護猫活動はもちろん、預かり活動を積極的に行っている猫の森と提携(寄付やケージを含む物品提供)することで、ienekoとして抱えている想いが達成できるのではと感じたのです。
猫に関わる事業を行う立場として、保護猫活動関連のサポートをしたいとずっと考えており、長らく調査をしていたもののなかなか踏み切れずにいました。理由としては、「不幸な猫を増やさないという本質的な目的に最も適した寄付先はどこか」という問いに対して、答えが出せなかったためです。「保護猫団体に寄付をするのは本質的なのか?」「特定の保護猫団体にしか寄付をしないのは不公平なのでは?」などの悩みもありました。
それでも、今回猫の森にコンタクトを取った理由としては、「影響力」の部分が大きくありました。現実的な問題として、ienekoがどれだけ頑張っても、すべての猫を救うことはできません。それでも、1匹でも多くの猫が今を幸せに生きることが、我々が寄付をする意味として十分なのではと思うようになりました。
そこで、保護猫の現状やサポートの必要性を多くの人に知ってもらえる手段を持つような、影響力のある団体へのサポートを決めました。ienekoがサポートすることで、保護猫に関する認知拡大や賛同者の増加につながると考えたからです。また、支援の拡大により不幸な猫が減っていく可能性に投資をすることが重要と考え、猫の森との提携を開始したのです。
猫の森との提携を通じて、ienekoが実現したいのは「不幸な猫を減らすこと=幸せな猫を増やすこと」です。とはいえ、これだけであれば少し抽象的すぎるかもしれません。そこで、もう少し具体的に書くと「ケージが必要な猫により良いものを届け、猫も人も心地よく暮らすための選択肢を増やす」ことだと考えています。
自ら語るのはおこがましいかもしれませんが、ienekoで販売している猫ケージにおいて、製品の質という意味では非常に自信があります。「ケージは猫にとって役に立つものである」という認知の拡大を図りたい。そのなかでも「ienekoのケージは人にも猫にも使いやすい製品」であることを、多くの方に知ってもらいたい気持ちがあります。そのうえで、多くの猫ちゃんと暮らす方々に、ienekoのアイテムを選んでもらえたら嬉しく思います。
保護猫団体との取り組みにおいて、ienekoは「NPO法人猫の森」との提携を開始しました。猫の森は、行き場をなくした猫の支援や、保護猫の譲渡などさまざまな活動をされています。
そこで、ienekoの立場においてできることはなにか理解を深めるために、猫の森のもとへ訪問してお話を伺ってきました。猫の森では、ienekoが想像していた以上にさまざまな配慮や、幅広い活動をされていることに気づきました。
今回は、NPO法人猫の森の代表理事、北村由紀子さんにお話を伺い、得られた気づきを紹介します。また、ienekoがなぜこのような取り組みを開始したのかについても簡単にまとめましたので、ぜひ最後までお読みいただけると嬉しいです。
目次
◆NPO法人猫の森とは?
◆保護猫施設は猫の病院・保育園のような一面もある
◆保護猫団体スタッフはマッチングのプロ
◆譲渡する際の条件はあるが決して高いハードルではない
◆譲渡時の重要なチェックポイントと抜け道をなくすフロー
◆ienekoが猫の森と提携を進める理由
◆事業会社の立場として抱えていた想い
◆猫の森との提携を通じてienekoが実現したいこと
NPO法人猫の森とは?
まずは、今回お話を伺った猫の森について紹介します。
- 野良猫の救助・保護・里親募集を行っている団体
- 終生飼育を目標にしたさまざまな施策
- 譲渡後の支援も実施
猫の森がどのような活動をされているのか、少しでも知っていただけると幸いです。
1. 野良猫の救助・保護・里親募集を行っている団体
NPO法人猫の森は、千葉県の船橋市を拠点に野良猫の救助や保護だけでなく、里親募集なども行っている団体です。親猫が育児放棄したり、段ボールに入れられた状態で捨てられていたりするなど、さまざまな理由で救助が必要な猫に対して保護や支援を行っています。また、市内の地域猫活動への支援にも取り組んでおり、人と野良猫が共生できる地域社会づくりを目指しています。
2. 終生飼育を目標にしたさまざまな施策
野良猫の保護や里親募集に取り組んでいる団体は数多くありますが、猫の森では終生飼育を大きな目標として掲げ、さまざまな取り組みをしています。具体的には、病気があり里親を見つけるのが難しい子は、猫の森で生涯お世話をする前提で引き取っています。猫の面倒をみるにあたって、一般の方が入場できるハウスで飼うことにより、人と触れ合う機会をつくっているのです。
高齢の里親希望者に対しては、シニア猫の譲渡を提案しています。猫を引き取るにあたって、里親希望者の年齢が原因でお迎えできないケースもあることでしょう。高齢の方から里親希望の申し出があった際は、譲渡ではなく「終生預かりボランティア」の提案をしています。
シニア猫の場合はなかなか譲渡につながらず、最後まで猫の森の保護猫として過ごすことになる可能性が高くなります。そのため、猫を改めて迎えることが難しい高齢の方には、預かりという形で猫と過ごせる仕組みづくりをしています。
また、猫の森では、飼い主さん自身にもしものことがあった際の保険として、猫の森が猫ちゃんを引き取る「終生飼養のサポート」を展開しています。この終生飼養サポートを利用しているのは、高齢者の方だけではありません。30代の単身者で、多頭飼育をしている方にも利用されています。
若い猫であれば新しい家族とめぐり合うチャンスがあるかもしれません。しかし、歳を重ねた猫の場合、なかなかそのようなチャンスはないのが現実です。猫の森による終生飼養サポートがあることで、行き場のない猫を減らすことにつながるのです。
3. 譲渡後の支援も実施
猫の森では、猫の譲渡後も支援を行っています。例として、譲渡後に脱走などのトラブルがあった際は、現場に駆け付けて一緒に猫ちゃんを探すこともあります。拠点である船橋市だけでなく、遠方でも駆け付けたことがあると伺いました。伺った話によると、ペット探偵より発見確率が高いとのこと。また、猫の森経由で譲渡を行った里親に限り、ペットシッターによる支援を行っています。譲渡して終わりではなく、里親目線での配慮が伺えますね。
保護猫施設は猫の病院・保育園のような一面もある
ここからは、実際にお話を聞いたうえでの気づきをご紹介します。
- 保護された背景や体調に合わせたサポート
- お世話の状況を仕組み化
- 立場ごとに役割を分担
少なからず他の保護猫団体でも同様の考え方をされていたり、仕組みを整えられていたりするのではと考えています。今回は、あくまで猫の森における気づきとして紹介します。
1. 保護された背景や体調に合わせたサポート
猫の森では、保護された猫の背景や体調に合わせたサポートを行っています。具体的には、体調に合わせてサプリメントやご飯をカスタマイズしています。猫の森でお世話をしている猫の多くは、多頭飼育崩壊の現場から保護された猫です。多頭飼育崩壊の現場から来た子たちは、飼い猫であってもそれぞれ好みなどがわからない状況です。
また、食が細い子たちや口内環境が悪い子も多いため、細かなケアをする必要があります。そのため、ご飯のあげ方やアレルギーの有無など、把握できる範囲で猫に合わせています。
2. お世話の状況を仕組み化
お世話の状況を仕組み化している点も、お話を聞いて印象に残りました。猫の森では、それぞれの猫に対して必要なお世話が完了しているかどうかを確認できる仕組みが整っています。具体的には、管理シートや当番表などを用いることで対応しています。
世話をする猫が多いと、日々のサポートに追われて手が回らず、すべての子に必要なお世話がいきわたらないこともあるかもしれません。猫の森ではそのようなことがないように、お世話の状況を仕組み化する工夫がされています。
3. 立場ごとに役割を分担
猫の森では、正規スタッフとボランティアで役割を分けています。例として、投薬や給餌など、猫の体調に関わるような責任ある仕事は正規スタッフが担当。一方で、掃除を中心とした以下の業務は、ボランティアの方に対応していただいているそうです。
- 猫のトイレ掃除
- 猫のケージ掃除
- 猫のいるスペースの床掃除
- 猫の食器洗浄
- 猫のごはんの配膳
他にも、上記の業務以外に、猫とのスキンシップによる人馴れ訓練も依頼されています。
ボランティアにおいては、試用期間や面談を踏まえて1年ごとの更新制にしています。また、ボランティアにおけるルールや入退室管理も徹底。一般企業で行われているようなセキュリティ体制を構築し、一定以上のお世話の質を担保できるようにしています。
保護猫団体スタッフはマッチングのプロ
猫の森でお話を伺って感じたのが、保護猫団体スタッフは「猫×人」「猫×猫」のマッチングのプロであることです。
譲渡会では、スタッフにお迎えしたい猫のイメージを伝えると、要望に合わせて紹介してもらえます。人間にも性格や好みがあるように、猫も人が好き、猫が好き、一匹が好きなどさまざまです。スタッフは各猫の背景と里親候補者の希望を踏まえて、マッチングのアドバイスをするのです。
とくに先住猫がいる場合は、マッチングは慎重に行います。家族構成によっても、合う猫の性質は異なります。
小さい子供がいる家なら、子猫をお迎えしても日々の生活で違和感がないことでしょう。一方で、高齢者や大人だけの世帯では、落ち着きのある大人・シニア猫が好まれます。それらの事情も踏まえて、お迎えする環境と猫の相性を考慮して紹介するため、猫の森からの譲渡においてはミスマッチが少なくなるのだろうと感じました。
譲渡する際の条件はあるが決して高いハードルではない
猫の譲渡を行う際に、猫の森では一定の条件を設けています。条件やルールなどの言葉を見ると、お迎えするハードルが高いように感じるかもしれません。
猫の森では不幸な猫が増えないように、他の団体同様に細かいルールを設けて譲渡を行っています。一方で、条件を細かく見ていくと、どれも猫を飼うなら当然対応すべき準備の範囲内と言える内容のように感じました。むしろ、他団体よりも間口を広げたうえで、猫の譲渡を行おうとしている印象です。
お迎えする際は、里親申込時に本人確認書類一式や家族構成、先住猫についてなど、基本的な個人情報の提供が必要です。また、面談・面会の機会を設けて、猫を受け入れることの覚悟をチェックしています。実際に、お迎えすることへの熱量が高い方は、受け入れ前に必要な備品購入や脱走対策を完了させてから譲渡会に参加される方も多いようです。
譲渡時の重要なチェックポイントと抜け道をなくすフロー
譲渡に関して、数あるチェック項目のなかでも脱走対策を厳しくチェックしています。猫を室内で放し飼いにする際、柵や網戸に対策が講じられているかを確認し、一定の強度以上であることが確認できてから正式に受け渡しを行っています。
譲渡においてよくある話が、単身の方だとさまざまな理由から譲渡できないというものです。しかし、猫の森では単身の方でも、後見人を立てたうえで面談にて契約内容の合意ができた場合は譲渡を行っています。
猫の森では、名前貸しによる抜け道譲渡が起こらないよう、面談の機会を設けています。名前貸しの場合は、この面談後に破談になることもしばしばあるとのこと。結果的に、不安定な環境での譲渡を防ぐ意味で、この面談がしっかりと役割を果たしているようです。
譲渡会は施設内で月1回、その他は施設外の別会場で実施しています。施設内だと猫がいつも通り過ごせるため、本来の性格や過ごし方を見ることができ、里親が決まりやすい傾向にあるようです。
ienekoが猫の森と提携を進める理由
ここからは、ienekoが猫の森と提携を進める理由について触れさせてください。結論としては、ケージを通じた保護猫活動のサポートが実現できると考えたためです。
猫ケージは、今や猫を迎え入れる際の必須アイテムの1つです。一方で、猫ちゃんを飼っている方の間でも、いまだに賛否が分かれる製品でもあります。猫ケージに対して、マイナス意見を目にするたびに「ケージは猫のために本当に必要なのだろうか?」と、悩むこともありました。
そんななか、たまたまテレビで放送されていた「嗚呼!!みんなの動物園」を目にしました。番組内で、サンシャイン池崎さんが猫の森から猫を預かり、人慣れの練習をしているといった内容です。その番組内では、人が怖い猫や初めての場所に対して怖がる猫が、ケージ内では安心して過ごせるという内容が放送されていました。この放送を見て「猫にとってケージは意味があるんだ」と感じました。
安全な環境で、猫も人も心地よい距離感で一緒に暮らすにあたり、猫ケージはやはり必要なアイテムである。そう実感できたと同時に、このようにケージが必要な猫に対して、より良いケージを広く届けてあげたいと思いました。
そこで、保護猫活動はもちろん、預かり活動を積極的に行っている猫の森と提携(寄付やケージを含む物品提供)することで、ienekoとして抱えている想いが達成できるのではと感じたのです。
事業会社の立場として抱えていた想い
猫に関わる事業を行う立場として、保護猫活動関連のサポートをしたいとずっと考えており、長らく調査をしていたもののなかなか踏み切れずにいました。理由としては、「不幸な猫を増やさないという本質的な目的に最も適した寄付先はどこか」という問いに対して、答えが出せなかったためです。「保護猫団体に寄付をするのは本質的なのか?」「特定の保護猫団体にしか寄付をしないのは不公平なのでは?」などの悩みもありました。
それでも、今回猫の森にコンタクトを取った理由としては、「影響力」の部分が大きくありました。現実的な問題として、ienekoがどれだけ頑張っても、すべての猫を救うことはできません。それでも、1匹でも多くの猫が今を幸せに生きることが、我々が寄付をする意味として十分なのではと思うようになりました。
そこで、保護猫の現状やサポートの必要性を多くの人に知ってもらえる手段を持つような、影響力のある団体へのサポートを決めました。ienekoがサポートすることで、保護猫に関する認知拡大や賛同者の増加につながると考えたからです。また、支援の拡大により不幸な猫が減っていく可能性に投資をすることが重要と考え、猫の森との提携を開始したのです。
猫の森との提携を通じてienekoが実現したいこと
猫の森との提携を通じて、ienekoが実現したいのは「不幸な猫を減らすこと=幸せな猫を増やすこと」です。とはいえ、これだけであれば少し抽象的すぎるかもしれません。そこで、もう少し具体的に書くと「ケージが必要な猫により良いものを届け、猫も人も心地よく暮らすための選択肢を増やす」ことだと考えています。
自ら語るのはおこがましいかもしれませんが、ienekoで販売している猫ケージにおいて、製品の質という意味では非常に自信があります。「ケージは猫にとって役に立つものである」という認知の拡大を図りたい。そのなかでも「ienekoのケージは人にも猫にも使いやすい製品」であることを、多くの方に知ってもらいたい気持ちがあります。そのうえで、多くの猫ちゃんと暮らす方々に、ienekoのアイテムを選んでもらえたら嬉しく思います。